残りわずか
トートバッグ
Boston Bag "併せ持つ"
$1,270残りわずか
阿部洋太の仕事は、「ひとつあるフォルム」という考えから始まります。よくある形に、"ひとつ"だけ何かを加えてみる。起点となる技術や発想、こうしたいという思い、日々それを持ち歩く使い手からのリクエスト。さまざまな中からひとつを選び出し、無理なく溶け込ませる。ありふれていたはずの形が個性を持ちはじめ、手にする人を楽しませるものへと変わります。静かで、抑制の効いた考え方です。加えることより、加えずにおくことのほうが難しい。
1988年、埼玉県生まれ。多摩美術大学生産デザイン学科でプロダクトデザインを学びました。卒業後は工房に入らずメキシコへ渡り、そこで革細工を始めます。つくったものを売りながら南米を縦断。帰国後は都内の革鞄メーカー2社で、あらためて鞄づくりを学び直しました。2019年に〈oceano〉を創業し、2022年からは静岡県富士市に拠点を移して制作に取り組んでいます。デザインの教室、長い旅路、工房の作業台。三つの学びが、そのまま製品に表れています。
oceanoの製品は、革そのものにできるだけ多くを語らせるため、すべて手作業でつくられます。用いるのは植物タンニン鞣しのオイルレザー。ラッカーなどの保護剤を使わない染料仕上げのため、表面は何にも覆われていません。天然皮革ですから傷跡や色ムラが入ることもありますが、阿部はそれを欠点ではなく革の表情として受けとめてほしいと言います。オイルを多く含む革は、手入れもほとんど要りません。布巾で埃を払い、縫い目や折り込みの細部はブラシで。あとは、使うこと。日々手に取るうちに艶が増し、色は深まっていきます。
この仕事のすべてが、そこに通じています。見慣れた形に、意図されたひとつの変化を。変わりつづける余地を残した素材を。そして工房ではなく、持ち主の手の中で仕上がっていく道具を。
