Kayura
富山県高岡市

吉川 和行

美しさは時間と手間の中に宿る

伝統と革新が交差する町・高岡で、江戸時代から続く技を受け継ぐ若き蒔絵師。吉川和行は、父の道具とともに漆の世界へ。 作業は埃の舞わぬ深夜に静かに進められる。漆の光沢に金銀の粉と卵殻の白が美しく調和する作品は、触れる人の記憶に残る。 伝統産業の担い手として地域に深く関わり、次世代へ技と文化をつなぐ活動にも力を入れている。

01所在地01
  • Takaoka, Japan

伝統と革新が交差する町・高岡で、江戸時代から続く技を受け継ぐ若き蒔絵師。吉川和行は、父の道具とともに漆の世界へ。 作業は埃の舞わぬ深夜に静かに進められる。漆の光沢に金銀の粉と卵殻の白が美しく調和する作品は、触れる人の記憶に残る。 伝統産業の担い手として地域に深く関わり、次世代へ技と文化をつなぐ活動にも力を入れている。

01所在地01
  • Takaoka, Japan
01 — 便り

父の道具を、なくしたくありませんでした

私は高岡の蒔絵師の家に生まれました。別の仕事をしていた20代のとき、父が体調を崩しました。父は私に継がせるつもりはありませんでしたが、私が継がなければ父の技術も道具もなくなると思い、家業に入りました。

蒔絵は、漆で描いた絵に金銀の粉を蒔く技法です。私は金、銀、アオ貝を使って、さまざまな絵を仕上げ、漆にない白は、うずらの卵の殻で表します。光の当たり方や見る角度で表情が変わるところに、奥深さを感じています。

制作は、埃や風の立たない深夜に進めます。家族が寝静まった時間は、気持ちも落ち着きます。これからも、父から受け継いだ道具で、時間と手間をかけた作品をつくります。

吉川
吉川 和行蒔絵師
02 — カード

漆、金銀、アオ貝、卵殻

本物の漆に、金粉銀粉、卵殻、アオ貝を重ねて、一つの絵を仕上げます。

本物の漆と金だけで

木地に麻の布を貼って補強し、下地も漆でつくります。接着にも漆を使い、化学製品は使いません。装飾に使う金も本物で、代用品は使いません。

白を表す卵殻塗り

漆には、白い色がありません。そこで、うずらの卵の殻を使う卵殻塗りを取り入れています。白を表すだけでなく、殻のひび割れが、繊細な質感を生みます。

後戻りのできない工程

漆を何十回も重ねるため、制作に入ると、途中で戻ることはできません。研ぎ出し蒔絵は、絵を描いて漆を重ね、研ぐ作業を繰り返し、20から30の工程があります。こちらの箱は、完成までに半年はかかります。

描かない場所を決める

蒔絵は、器のどこに、どのくらい装飾を施すかを、蒔絵師が自分の感覚で決めます。吉川は、空間にゆとりを持たせた意匠で制作することが多いです。

小指を軸にした筆づかい

漆器に手の油分が付くと、漆がうまく乗りません。そのため、手の側面を器に付けず、指サックをはめた小指を軸にして、筆を動かします。

お客様の言葉から描く

「鳥」などのモチーフや、「風」などのテーマをお客様から聞き、そこから先は任せてもらうと、制作が進めやすいです。使う場面に合わせて、できる限り要望に沿った意匠にします。

03 — 沿革

私の歩み

1985

富山県高岡市の蒔絵師の家に生まれる

2005

自動車会社に入社

ボディーの整形、塗装、溶接などを担当する

2014

家業に入る

漆芸吉川の3代目の蒔絵師として制作を始める

2023

高岡伝産の会長に就任

創設50周年を迎えた高岡伝統産業青年会の第46代会長に就任

2025

ProjectO結成

装飾工芸の新たな価値を創造するチームを立ち上げ