
砂で彫るガラス工芸
サンドブラストは、圧縮した空気で砂を吹きつけて、ガラスの表面を削る技法です。砂が当たった部分は、すりガラスのような質感になります。砂が飛び散らないよう、専用の箱の中で作業します。
光を感じる 想いを刻む
東京の工房で、サンドブラストの技法を使い、日本の花鳥風月をガラスに刻むガラス作家。 外側と内側で色の違う被せガラスを削り、重ね彫りで奥行きを出して、光を通すと表情の変わる図柄を浮かび上がらせる。 ペアの作品でも同じ絵柄にはせず、一つずつ違う作品に仕上げている。
東京の工房で、サンドブラストの技法を使い、日本の花鳥風月をガラスに刻むガラス作家。 外側と内側で色の違う被せガラスを削り、重ね彫りで奥行きを出して、光を通すと表情の変わる図柄を浮かび上がらせる。 ペアの作品でも同じ絵柄にはせず、一つずつ違う作品に仕上げている。
会社員をしていたころ、サンドブラストの教室でガラスを彫る技法に出会いました。仕事をしながら5-6年通い、子どもが生まれたときに、これを仕事にすると決めました。
大切にしているのは、癒し、優しさ、自然美です。花鳥風月に着想を得て、左右対称にしない自然な線を取り入れ、手に取った人が、ふと故郷の自然や四季を思い出すようなデザインを心がけています。
厚みや色の抜け方のわずかな差で、作品の印象が変わる繊細なガラスです。完璧を求めるのではなく、自然に生まれるゆらぎを受け入れること、一つひとつの個性を大切にすることに気づきました。光の入り方で変わる姿を、楽しんでいただけたらうれしいです。
削る場所と残す場所を決めながら、サンドブラストでガラスに絵柄を刻んでいきます。その工程と素材を、紹介します。

サンドブラストは、圧縮した空気で砂を吹きつけて、ガラスの表面を削る技法です。砂が当たった部分は、すりガラスのような質感になります。砂が飛び散らないよう、専用の箱の中で作業します。

彫らない部分は、マスキングシートで覆います。植物の図柄など、モチーフの重なりに合わせて、シートを一枚ずつはがし、深さを変えて彫るのが「段彫り」です。砂の圧力やガラスとの距離を変えて、濃淡をつくるぼかしも加えます。

外側と内側で色の違う2層のガラスを使い、表面を彫ると、内側の色が現れます。江戸切子と同じガラス生地で、赤は銅、ピンクは金の色です。塗料ではなくガラスそのものの色のため、はがれて無くなることはありません。

彫り終えたガラスは、一つずつ手で磨いて仕上げます。ぼかし彫りで透明感を残した部分は、自然なグラデーションで、柔らかな光を通します。

ガラスの色や厚みは一つひとつ違うため、全く同じ作品はつくれません。ペアでも、草の葉の向きを逆にするなど、違いをつけています。結婚や還暦のお祝いに選ばれることも多いです。

素材には、国内の職人が手づくりするガラス生地を、主に窯元から取り寄せています。色や形を追求して、吹きガラスで生地から自作した作品もあります。
図柄の着想は、四季の自然や、日本画、着物の文様、建築の装飾などから得ています。
移ろう季節の景色と光をガラスに刻み、日本の自然美や四季の心を、海外の方にも伝えていきたいと考えています。
それぞれの文化を尊重しながら、楽しんでいただける作品を、これからもつくっていきます。
